たくさん男の人をだましてゴメンなさい



 今回は「たくさん男の人をだましてゴメンなさい」という話です。といっても昔の話なんです。今は、私は女装子よ、と公言して、写真などを出していますが、私が女子大生だったころ(女子大生の年齢で、女子大生よと語っていたという意味です)、街を歩いているときだとか、他の場所で出会ったときだとかで、男の人に声をかけられていたときのことです。
 自分のことを女性だと誤認されるのがうれしくて、女子大生なんですという設定で話していました。男の人は、私のその言葉を信じてしまっていて、とくにオジサマから声をかけられたときは、相手の男性は、女子大生とデートできることがうれしかったようでした。ちなみに、その時代は、女子高生の価値はあまりなくて、女子大生が、オジサマが求める対象だったようです。女子大生ですから20歳以上。なので、お酒を一緒に飲みにいったりすることも多々ありました。といってもそのころは、未成年の飲酒・喫煙は、今みたいにすごくうるさいという時代ではなかったみたいでした。
 相手の方がオジサマだったりしたら、服や化粧品、バッグなどをおねだりしたりしていましたが、男の人って、女性にプレゼントすることを、むしろ喜んでいるみたいなのです。女性の前では、「男の沽券」をひけらかしたいのだと思います。当時は「ジェンダー平等」なんて言葉は全く存在していなくて、女性は男性に従っていることをもとめられる反面、男性は女性にいろいろとやさしくしてくれるという関係でした。ラウンジバーでのお食事やお酒、高級そうなレストランでの食事代は、男性がサッと支払ってくれることが当たり前の時代でした。
20数年前-1
 ちょっとよさそうな車は男性のステータスのようで、助手席に私を乗せてドライブするというようなこともあって、女性は男性に依存する立場を保っていれば、ずいぶんといい思いをすることもあったのです。お食事代やお酒代は当然のように男性が払ってくれるし、移動のための交通費も男性持ち。列車(当時は国鉄かな)の切符もサッと2人分を買ってくれたりするので、デートで私が負担するのは、待ち合わせ場所までの交通費ですむのでした。いやいや、ひょっとしたら、デートのあと帰るときに、「これタクシー代ね」と何千円かを渡してくれたりすることもけっこうあって、女性の立場ってラッキーだ、なんて思っていた当時だったのです。でも、今から振り返ると、それは男性を主として、私は男性に依存するという関係性でなくてはならなかったことだったのです。まして、相手の男性をやりこめるようなことは絶対にやってはダメです。そういう男女関係が同時の関係性だったのです。

 それでも、ジェンダー平等ではない負の側面は、当時の私には認識していませんでした。男どうしだったとしたら、おごってもらったりしたら、次回は、こちらが相手におごってあげるという心配りが求められるのですが、私が女性のポジションだった場合は、男性からおごってもらう片方向で、男性にお返しをしなくてもいいという気楽さがありました。あー、でも、相手の男性が、私の脚を触ってくるだとか、胸にタッチしてくるだとか、ときにはくちびるを寄せてくるだとか、そういう「お返し」は必要だったみたいですね。
 男の人は、私を女子大生だと信じきっていて、私も大学のいろいろなことの話題を会話のまぜると、相手もいっそう喜んだみたいでした。あるとき、大学で教鞭をとっている方とおつきあいしたときなんかは、その先生の研究分野の話題にいくらかはついていけたので(だって私は、女子大生ではないとしても大学生ではあったのですから)、とても喜んで雄弁に話してくれたりしました。男性は、自分の仕事のことを語らせれば、とても雄弁になります。「男の沽券」が発揮されるときなのかもしれません。そんな「自分自慢」は男性相手にはなかなか語れないでしょうから。でも、私がなんの反応もせずに聞くだけではいけません。途中で、いくつかの質問をしたりする「よき反応」をしてあげなければなりません。そうであっても、基本は、「聞き役」にまわることを忘れてはならず、自説を開陳するようなことは御法度です。女性は、ほんの少しの自分の意見を示すだけで、ほとんどは男性の語りに相づちをうつことがもとめられました。でもそうすると、かわいがってくれるのです。男性の懐からは万札が飛び出してきて、いろいろとプレゼントを買ってもらったりもしたのでした。ひょっとしたら、今でいう「パパ活」なのかもしれませんね。ちがうのは、デートのたびに何万円かの代金をもらうようなことはないことでしょうか。プレゼントという物品と、現金という生々しさ。「パパ活」とは、そのあたりのちがいはあるのかもしれません。

 こんな時代、女性のポジションはよかったと思うのか、それとも、自分は男性の前で従順にしていなければならないので、女性が男性の従属物だということになり、おかしな時代だったと考えるのか。難しいですね。ただ、従順であることが男性の従属物だととらえる感性がなければ、「女性はトクだ」という感覚だけで満足してしまうのかもしれません。こんな若い時代を過ごしてきました。
 男の人を、私が女子大生だとしてだましてゴメンなさい。


   オジサマとのデートだと、こんなすてきなレストランにも連れていってもらえました。


   一緒にお店に行って、私がいろいろと選び、コートやバッグ、化粧品などを買ってもらうこともありました。コート代のお返しは、オジサマと一緒に食事をしたりお酒を飲みにいったりすることですから、当時は、女性ってトクだなと思ったものでした。反面、男性には従順に従っていなければならないジェンダー性があるという認識ができたのは、ずっとあとの時代になってからでした。


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